連続複利からのネイピア数 e の定義
[前の記事からの続き]
これ結局、いわゆる「瞬間複利」あるいは「連続複利」の問題なんですよね。で、もともとの利息の基本式 の を に持っていく事を考えます。 両辺をで割り算して、 の極限は と言う微分方程式になります。これを解くと となります。は任意の定数係数です。微分方程式と呼ぶのもオーバーな気もしますが、一番簡単な部類の微分方程式ですね。の初期値は即ち元金ですので、初期条件 の時のは元金の(円)と置けば良いことが分かります。上式の に(年)を代入するととなり、これ が一年後の瞬間複利計算の元利合計と言うわけです。
これだけではあまり面白くないので、前回記事の差分の式からを底にした指数関数が出てくる理由を考えます。前回記事の 「 と書けます。、(年間)」のはそもそも(年間)なので整理すれば と書けます。
ここで元金は実はただの定数係数ですので増加率(これをとおく)だけの式を考えるとです。単利の利率を改めてと置き直し、このをに持っていく極限を考えます。となります。あれあれ、なんだか見覚えのある式になってませんか?実はこれ指数関数の定義、 そのものなんですよね。以下の文書にその解説があります。ただし、なぜこの数列の極限がネイピア数の実数乗そのものなのかと言う説明はありません。収束する、そして極限がある事は議論してますが。「これが定義だから」で済ませてるようです。
なので、ここからはネイピア数自身の定義を考えていきましょう。収束数列によるネイピア数 の定義は と言うものです。他にもいくつかの定義があるようですが、これが一番複利計算の式と関連しています。連続複利の計算から考えられた式だと言う事です。
上式は以前の複利の利率を考えた式 のをと置いた式になっています。つまり単利の利息を定義する一定期間における増加率を、すなわちある期間で二倍に増えるものとしています。さらにそのを時間の単位にして、として置いてるわけです。
そんな良い利率は近頃あるはず無いって?単利の利息を定義する期間の方を伸ばせば良いんですよ、30年弱ほどまでw そうすれば年率にしてくらいになります。
数列 は をに近づけるとどこに収束するか?実際に計算してみましょう。
(1+1/1)^1 = 2.0
(1+1/2)^2 = 2.25
(1+1/3)^3 = 2.370370…
(1+1/4)^4 = 2.441406…
(1+1/5)^5 = 2.48832
(1+1/6)^6 = 2.521626…
(1+1/7)^7 = 2.546499…
(1+1/8)^8 = 2.565784…
(1+1/9)^9 = 2.5811747…
(1+1/10)^10 = 2.593742…
(1+1/100)^100 = 2.704813…
(1+1/1000)^1000 = 2.716923…
(1+1/10,000)^10,000 = 2.718145…
(1+1/100,000)^100,000 = 2.718268…
(1+1/1,000,000)^1,000,000 = 2.7182804…
(1+1/10,000,000)^10,000,000 = 2.7182816…
ようやく に収束して来ました