CordwainersCatの日記

Twitterに書き切れないような長い話はこちらに書こうと思います

ネイピア数 e の定義から指数関数の定義へ

さらに前回の記事からの続きです。ネイピア数eの定義  e=\displaystyle \lim_{n \to \infty} (1+\frac{1}{n})^{n} からeを底とする指数関数  e^{x}=\displaystyle \lim_{n \to \infty} (1+\frac{x}{n})^{n}  の定義を導けるでしょうか?

まず準備として\frac{n}{x}Nと置きなおします。すると上式の右辺は\displaystyle \lim_{n \to \infty} (1+\frac{x}{n})^{n}=\displaystyle \lim_{N \to \infty}(1+\frac{1}{N})^{N \times x} と書けます。このn\inftyにもっていく時、xを特定の有限値(この数列の収束や極限を考える時はxを固定された値と考えてよいはず)であると考えるとN=\frac{n}{x}\inftyに持っていく事になりますので、結局これは元の無限数列と同じであると言うことができます。さらに上式の\displaystyle \lim_{N \to \infty}(1+\frac{1}{N})^{N}の部分はネイピア数eの定義 e=\displaystyle \lim_{n \to \infty} (1+\frac{1}{n})^{n}とまったく同じ形をしていますので、これをネイピア数 e に置き換えると e^{x}と書けます。これでようやく【形式的には】 e^{x}=\displaystyle \lim_{N \to \infty} (1+\frac{x}{N})^{N} が導けました。

ここで問題となるのはNとはどんな数か?と言う事です。もともとの導きたい式 e^{x}=\displaystyle \lim_{n \to \infty} (1+\frac{x}{n})^{n} のn自然数を仮定しています。その自然数n\inftyに持って行った時の数列の極限で実数(実は超越数eの任意の実数x乗を定義してやろうと言う欲張った?構造になってます。整数あるいは実数の実数乗どころか、有理数乗すら事前に定義せずにです。一方、Nはどんな数かを考えるとN=\frac{n}{x}ですから、もとのn自然数と仮定したままにするとxを任意の実数とするためにはNはその任意の実数の逆数の整数倍と言うややこしい数になります。すなわち範囲としては自然数をはみ出してこちらも任意の実数になってしまいます。ここでまたちょっと困難に突き当たってしまいました。