ネイピア数 e の定義から指数関数の定義へ
さらに前回の記事からの続きです。ネイピア数の定義 からを底とする指数関数 の定義を導けるでしょうか?
まず準備としてをと置きなおします。すると上式の右辺は と書けます。このをにもっていく時、を特定の有限値(この数列の収束や極限を考える時はを固定された値と考えてよいはず)であると考えるとをに持っていく事になりますので、結局これは元の無限数列と同じであると言うことができます。さらに上式のの部分はネイピア数の定義とまったく同じ形をしていますので、これをネイピア数 e に置き換えるとと書けます。これでようやく【形式的には】 が導けました。
ここで問題となるのはとはどんな数か?と言う事です。もともとの導きたい式 のは自然数を仮定しています。その自然数をに持って行った時の数列の極限で実数(実は超越数)の任意の実数乗を定義してやろうと言う欲張った?構造になってます。整数あるいは実数の実数乗どころか、有理数乗すら事前に定義せずにです。一方、はどんな数かを考えるとですから、もとのを自然数と仮定したままにするとを任意の実数とするためにははその任意の実数の逆数の整数倍と言うややこしい数になります。すなわち範囲としては自然数をはみ出してこちらも任意の実数になってしまいます。ここでまたちょっと困難に突き当たってしまいました。